書評 図解神道がよくわかる 菅田正昭著 アウトラインは良いがご都合主義

By | 2017年1月2日
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本書のメリット

この本は神道という信仰そのものについて興味があって、それを調べようとしている人には面白い一冊なのかもしれません。実際、神社の種類や神々の種類についてはかなり詳細にかかれていますし。

また、神道を宗教ではなく、日本の民間信仰として日本の「言葉」であるとか風習であるとか、それらの生活と強く結びついている神道の考え方のファンダメンタルを知ることができる、という意味においては役に立つ1冊とは思います。

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ネトウヨ的傾向と言わざるをえない編集

ただ、私から言わせると、この本は何か神道の都合の良い部分だけを取り上げて書いたように思えてなりません。

例えば、企業神社を取り上げておきながら、靖国神社を取り上げていない、というのは右派書籍によくある、「自分たちにとって都合のいい部分しか取り上げない」、そういった書籍と共通する臭いを感じざるを得ないのです。

神社と日本の歴史は分離できない

例えば先の対戦において、日本は靖国神社という国家神道を作り上げ、それを精神的支柱として、神風特攻なる、若者を犬死にさせるという世界にも類を見ない狂気の戦闘を行ったわけです。

それにも関わらず、この書籍には靖国神社が全く触れられていません。神道において国家神道は絶対に避けて通ることのできない要素であると私は考えます。

本書にも書かれているとおり、神道とは非常に共同性の強い宗教、もしくは土着的文化で、いわゆる「和」を求める文化であると私は考えています。

しかし、近代国家の日本の成り立ちに、神道が廃仏毀釈であるとか、王政復古、祭政一致、それらの思想的ベースであったのも事実であり、それらは敗戦という大きな文化的ターニングポイントを迎えても、その隠れた日本人の思想の根底にあることは当然といえます。

と、ここまで書いておきながら、実は私は神道そのものは決して否定するつもりはありません。いわゆる日本の八百万の神々は、例えば仏教であるとか、例えばキリスト教、そういった「あとから入ってきたカミサマ」を上手く包み込む思考なのですよね。

それがゆえ、自分の都合の良い部分だけを書いて、マイナス面を書かない本書は日本文化に対するネット右翼的見識で、神社に対する冒涜ではないか、とすら思ってしまいます。

結局、自分たちにとって都合の良い面しか見ないことはネット右翼と同じですから。

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まとめ

著者は良かれと思って、靖国神社問題を意図的に避けて書いたのかもしれませんが、私から見れば極めて不自然な編集と言わざるを得ません。

本書は神道の成り立ちや、そのバリエーションを知るには良い一冊となるかもしれませんが、神道を通じて日本という社会を考えるには、あまりにも役不足の一冊であると言わざるを得ません。

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