ボイスレコーダの使い方として
何年か前に、私の勤めていた会社の某取引先で、パワハラや不当な退職勧奨が、ある社員に対して行われていました。
直接的には私は、その人の所属部署とは関係なかったのですが、あまりにも、その企業の行動が非人道的な対応であっため、取引先の被害を受けている社員に法的対応のための証拠収集のアドバイスさせていただいた事があります。もちろん、こっそりと、ですが。
そのアドバイス方法とは、
ボイスレコーダーを活用し、不当な退職勧奨を記録する事
書類の全記録を無音カメラで撮影し、証拠とする事
になります。
ボイスレコーダーについて、今はスマホでボイスレコーダーの代わりにする事も出来ます。また、専用のボイスレコーダーを買っておけば、より安定し長時間録音する事ができます。
この話のオチとして、実はその被害を受けていた人物は一番重要な会話の部分でボイスレコーダーを回していなかった、という結果になるのですが。
それは、その被害を受けていた人物が悪いのではなく、上司が突然、重要な話題を言い出した事が原因なのですが。
とはいえ、その人物、つまり、パワハラをしていた上司に無理やり、その話を振っかける事により、証拠の収集に成功しました。
なんの脈絡もなく、相手が重要な話題を言い出す場合、ボイスレコーダーを、とっさにセットすることは難しいでしょう。
そのため、専用のボイスレコーダーを購入し、勤務時間中は常に録音状態にしておくことが最善の対策と言えます。
ドライブレコーダを使うのに、ボイスレコーダを使わない矛盾
つまり、ボイスレコーダーの使い方とは、重要な話をする前に録音をセットするのではなく、会社に入った瞬間から、会社を出るまで、常に録音をし続ける事が重要な点になります。
また、休日、会社から電話がかかってきた場合に、録音することも重要です。
それはドライブレコーダーと同じように、いつ、どこでど、のようなパワハラや、労働基準法違反が起きるか分からない、そんな世の中ですから。
本来、そのような進退に係るような話をする時は、しかるべき場を設けるべきですが、パワハラをするような企業には常識は通じません。
つまり、この一件から見える事とは、我々は働く場合は、すべてボイスレコーダで記録する、つまり、プライベートの時間以外は、すべてボイスレコーダーを可動させるべきである事に他なりません。
自動車の運転の際の、ドライブレコーダは驚くべき勢いで普及が広がっています。
それは、交通事故が生じたときに、双方の振る舞いを決定的に裏付ける証拠となるためです。無論、自分の運転がすべて記録に残るのですから、自分の運転のモラルの向上につながる事も事実です。
とはいえ、労働問題に関しては、そのようにボイスレコーダーで証拠を残したところで、「忖度」政治に見るように、この国の役人達は「証拠が明確ではない」「音声記録は受け取れない」、などと難癖をつけパワハラの認定を阻止しようとするのでしょう。
その場合、「労働基準監督署の役人との会話そのもの」を録音し、「本来追求すべき企業の犯罪を意図的に見逃した」行為、つまり行政不作為として、問題を追求する、などの手法があげられます。
また、無料の法律相談の法テラスを活用する、または、被害金額との相談となりますが、弁護士に相談するなどの手法も考えるべきです。
基本的に労働基準監督署とは、いかにして働く者に対しに難癖をつけ、自分達が動かないための理由を必死に考え出そうとする、そのような行政不作為と言われかねない行動をしている機関に見えてなりません。
社員の監視を行う企業の例
ちなみに仕事中にボイスレコーダーを回す事について抵抗感を覚える人がいるかも知れませんが、企業の一部には、社内のインターネットの通信トラフィックの全て監視する機材を導入している企業もあります。
それは、社員が、いつ、どのWebサイトを見たかを、全て記録しているのです。
確かに、働いている時間は企業側が働く者を雇っているため、そこで使用されるインターネットにおいける各従業員の振る舞いを監視する機材を導入する事については、違法性はありません。
しかし、そのように「企業が法律に基づく権利を行使するのであれば」、それらの企業は残業代や有給休暇などを法的に問題なく、すべて与えているのか? との疑問が出てくるのは当然です。
それらの、企業側の権利「だけ」が声高に主張され、働く者の権利が何ら守られていない、そのような状況においては、自衛のためにボイスレコーダーを勤務中常に回す事は、何ら咎められる行為ではないと考えますし、それ自体は法律に何ら抵触しません。
世にあふれる監視カメラと自衛
ちなみに、今、社会では、いたるところに監視カメラがつけられています。
監視カメラを広める事により、犯罪を未然に防ぐ、との考え方は出来ますが、それは一方的な物の見方であり、別の見方とすれば監視社会として見る事もできるでしょう。
しかし、その監視者会が成立しているにもかかわらず、個人は最も身近な問題である働く環境において、自ら構築しうる、自衛のための監視方法としてのボイスレコーダーを使用しないのは、甚だ不適切な選択と言えるでしょう。
私がボイスレコーダに救われた例
実際に、私も勤務時間中にボイスレコーダーを導入しているのですが、導入数カ月後で、実際に役に立つ場面に出くわしました。
あまり細かい事を書くと自分の仕事に支障が出るのでボカしますが、ある顧客と契約を行うとして具体的な案件を合意し、しかも、その顧客が、案件の一部稼働を指示したにもかかわらず、その一週間後に、その案件の進捗報告をすると、「そんな話をした覚えはない」などと言い出しました。
そのため、やむを得ず、その顧客に対し先週の話をボイスレコーダーで録音している事を通知しました。
その結果、その顧客は態度を一転し、契約を履行しました。
これは、私が適切な契約書を書かせなかったことも問題の一端としてあるのですが、ボイスレコーダーの存在をちらつかせる事は、身に覚えのある者にとって、かなり心理的な脅威となるのも事実です。
なぜなら、そこには「逃れようのない事実」が記録されているのですから。
ボイスレコーダの別のメリット
ボイスレコーダーを勤務中に常時録音を行うことは、自衛のため以外にも、大きなメリットが存在します。
それは、ボイスレコーダを常時録音していることにより、自分に対しての法的な逸脱を行わないための戒めを与えること、また、交渉時に「録音行為を行っている」事による自分の精神的な強みとなること、です。
それは、「目に見えない法的、精神的な強みと戒めを自分自身に与えている」と考えることができます。
最後になりますが、自動車を運転する際にはドライブレコーダーが当然の社会で、サービス残業やパワハラが蔓延する企業でボイスレコーダーを使わない、それ自体が「おかしなこと」であるとの認識をすべき時代となったのは確実です。
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