ブラック企業と人手不足 日本社会の20年間のツケを支払う時が来た状況を解説

By | 2017年1月5日

改善されることのない人材不足

わかりやすい所ではトラック業界の人手不足が深刻な問題になっていますが、今後、日本の全ての業界において、人手不足がますます深刻になることは確実です。

これらは一言で表すならば、これまでのツケを日本社会がようやく払う時が来た事に他なりません。

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人材不足の原因

今まで派遣労働、日雇い労働、請負労働など、「企業にとって都合のよい働かせ方」を日本は国をあげて行なってきました。それは、働く者がどのように困窮や生活の不安定に叩き落されようと、です。

本来、不況のときだからこそ、企業は人材を育て、社会的責任を果たす、もしくは新たな産業を起こすべき時期であったにも関わらず、です。

また私が常日頃から書いているように、ブラック企業もしくはパワハラなど、それらの企業犯罪の問題を日本社会は何ら是正しようとせず、これまで放置してきました。それは角度を変えて見るならば、「行政不作為」と言う名の企業への無形の収益の贈与とも言える行動でした。

どのように劣悪な環境や違法行為であったとしても、それを労基署などが「見て見ぬふりをする」行為をすれば、「無かったこと」にできるのですから。

その結果として、若者は結婚をする事も、子供を産むこともできない状況に叩き落とされ、それが20年間続いてきた結果が、労働人口の減少であり、その労働力人口の減少が人材不足を招いているのです。決して景気が好転しているのではありません。人材不足は政財官の「自己責任」の究極のツケと言えるでしょう。

「先進国では少子化があたりまえ」と為政者は言うのかもしれません。

しかし、そもそも論で日本には「子供を作るための社会環境」すら成り立っていないのが現実ではないでしょうか? 一体、どこの誰がブラック企業でサービス残業を強いられながら結婚し、子供を積極的に産み、育てようと考えるのでしょうか?

為政者たちは人手不足の原因を「景気の拡大」と、都合の良い数字を使って言い換えたいのでしょう。

しかし、それは先の大戦の絶望的な末期における、首都にB29が襲来し、地獄絵図を振りまいているにも関わらず、「勝った!勝った!大連勝!」とプロパガンダ報道を垂れ流した大本営発表となんら変わりありません。

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人材不足は日本社会のツケだ

これまでブラック企業が決め台詞のように使ってきた、「いやなら辞めろ、他に人材はいくらでもいる」という言葉は、人手不足という巨大なブーメランとして企業自らに襲いかかっている事に他なりません。

本来であれば、ドン底の不況下における日本の雇用問題は、長時間労働またはブラック企業のありかたを是正すれば、いくらでも正社員の雇用を増やす事ができたはずです。

また、不況下における強力な雇用促進作として、週休2日制の強制導入なども公的に可能だったでしょうし、見せしめとしての労基法の厳格な適用で一罰百戒的な法運営も可能だったはずです。企業側は、危機感がなければ労働環境を改善しようとは絶対にしないでしょう。

一体、何のための「労働基準法」なのでしょうか?どのように理想的な法律であったとしても、それを使わないのであれば、「先進国ゴッコ」のためのお飾りに過ぎません

また、派遣で働く者に対する同一労働同一賃金の導入、退職金制度などを罰則のある「法律」として定めれば、ここまで劣悪な労働環境が蔓延する事はなかったでしょう。

また、「派遣社員の扱いを正社員並み、もしくは正社員以上の賃金制度」を導入すれば「派遣を使うことのメリットそのもの」が失われ、その結果として、強力な正社員の雇用につながったのですから。

しかし、それらの政策を何ら行わず、市場経済万能主義の思想に基づき、企業に好き放題にやらせてきた究極のツケとしての結果が、現在の労働力人口の不足です。

それらの一時的な解消策として、「外国人研修生」の名のもとに、実質的なタコ部屋労働、蟹工船のような労働を外国人労働に行わせていますが、それも、ごく一時的な問題の回避策に過ぎないでしょう。

それらの外国人労働者も日本の労働環境のあまりの劣悪さ、および彼らの母国の発展に伴い、もはや日本に来る労働者そのものが存在しなくなる時期が近づいているのです。また、インターネットの発達は、日本人の知らぬところで日本の劣悪な労働環境を、「元」研修生が様々な言語で日本の劣悪な労働環境を全世界に発信し続けている可能性すらあります。

一体、今後、何が悲しくて蟹工船のような労働を行いに極東の島国に海外の人々が来なければならないのでしょうか?

「外国人研修生」が来日することを期待する人々は、これまでの日本の構造的問題を何ら認識できていない人々と考えざるを得ません。また、「先進国としての日本」の神話を過剰に信じ込んでいる、もしくは、問題の先送りとして、何も考えたくないのかも知れません。

人材不足を解消するにはどうすればよいか

では、どうすれば現在の労働力人口補う事ができるのでしょうか?

それは労働基準法の厳格な運用、そして労基法違反へのペナルティを経営者への実刑をも含め、厳格に適用する、また、残業代不払については、法改正により、それを行なった企業には、何倍かの懲罰的違約金を働く者に支払わせる。当然、残業代の請求期間はたった「2年」などという企業にとって無いに等しいものではなく、未払賃金の利息付きでの時効の撤廃を導入すべきです。

それはつまり、「先進国」であれば当たり前の労働行政を当たり前にする、それ以外に手はないのではないでしょうか。

そもそも、現在の日本において、労働基準法はあってないようなものです。それを破って、あまつさえ働く者が過労によって命を失ったとしても、企業は最悪でも「書類送検」、経営者は「まことに遺憾です」とでも寝言を吐いておけば逮捕されることもない。

そんな状態であれば、労基法を破らないほうが不思議です。サービス残業をさせ、違法な収益を上げたとしても、事実上、何ら法的に罰せられないのですから。それは国が企業に対して、彼らの違法行為を見て見ぬふりを行い、事実上の利益供与を行っている、とさえ言えるでしょう。

まず、「企業に当たり前に労基法を守らせる」。労働基準法を強制力を伴い、当たり前に適用する事こそが、日本の再生に残された唯一の道です。また、それは何年かのインターバルは伴うものの、少子化の解消、ひいては労働人口不足の建設的な解消につながるでしょう。

もっとも、そもそも論で言ってしまえば、労働基準法すら守れていない、そんな日本社会自体が、もうすでに常識ある市場経済主義もしくは資本主義から脱落しつつある、という見方が正しいのかもしれませんが。

一体全体、何が悲しくて「労働力人口不足」と「違法サービス残業に対する行政不作為」という、双方で矛盾のある議題がセットで議論されるのでしょうか? これは、「先進国ゴッコ」の破綻の顕著な表れと見るべきです。

また、それに対して危機感すら抱くことのできない政財官は、もはや救いようがないのかもしれません。目先の利権を守り、社会自体が沈没する、そんな状態にこの社会は有るのかもしれません。

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