貧困と行政不作為、隠された日本のホームレスの姿 書評 ルポ最底辺

By | 2017年9月12日

homeless-administration

この本は社会の醜さをあぶりだす非常に良書なのですが、それと同時に、読んでいて、恐怖感さえ感じてしまう一冊です。

この書籍は、この国が「働く者が貧困状態に陥れられても、行政は全く何もしてこなかった」事実を非常にハッキリと浮き彫りにしています。

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ホームレス問題とは行政不作為によって作り出された人為的な問題である

この本を読んで思うのは、現在のホームレス問題や貧困問題とは、行政不作為によって人為的に作り出された問題である事を痛感します。

この本に書かれている通り、生活保護は本来受けられるべき者が受ける事ができていませんし、その一方、でNPOIなどがタコ部屋の様な「生活保護施設」を作り、そこで元ホームレスの者たちに生活保護を不正に近い様な形で受給させ、集団生活をさせている現実もあります。

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一方でホームレスの人が苦しみ、一方で過労により命を落とす

この本が書かれたのは2006年であり、現在の労働力人口不足の時代とは若干異なった時代背景となります。しかし、その2006年において、かたやホームレスの人々が非常に大変な思いをしながら生活をしていた一方、同時に世にはブラック企業が跳梁跋扈し、過労やサービス残業の問題は放置されていました

一方では働きたいにも関わらず働く場所がない、と嘆く人々がいる一方、かたや
一方では働きすぎで命を落とすレベルの過労をさせられてしまう、しかも、サービス残業で、まともに賃金すら払われない様な事態が起こっている。

それは生活保護行政が正常に機能していない事、そして、労働基準監督署などの労働行政が機能していない事、つまり、行政不作為が生み出した、おぞましい状況に他なりません。

行政のホームレスの方々に対する本音

本書では、これらの行政の不作為について、実例とともに書かかれています。結局、行政、特にホームレスの人々に対する行政の対応とは、

「いかにして自分の役所から金を払わず、問題をあやふやにして問題の責任の所在をぼかすか」

に「のみ」血眼になっている、としか見えません。それは、あらゆる役所において、です。

そして、その役人たちは自分たちは縁故採用やコネ採用で採用され、そして世界一とも言われる高額な賃金を受け取り、ぬくぬくと自分達は何一つ困ることのない生活をしているのです。

この本を読んでいて、やや物足りなく感じた事は、それらの公務員の不作為行為に対する追求の部分であることは事実です。

とはいえ、それらの「行政不作為」が実例とともに取り上げられている点は大いに評価できるものですが。

いわゆる、生活保護の「水際作戦」などといわれる、生活保護申請を受け取らない行政不作為行為が行われる原因として、「予算がない」などと、役人達は、うそぶきます。

しかし、その前に、役人たちは、一体いくらの給料を血税から受け取っているのか? そんな、当たり前の事実を、まず市民は問い詰めるべきではないでしょうか。

とはいえ、この国は、一般の人々が困窮している時に、何もマトモに対応してこなかった事実だけは、この一冊を読むと、よく理解できます。

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皮肉な結果としての状況の若干の好転

無論、今後、労働力人口不足によって、これらのホームレスの方の問題などは、幾分はマシになるのでしょう。

しかし、それにしたところで、労働力人口不足とは、製造業派遣の解禁による、特定の世代の貧困化の結果としての労働力人口の減少ですから、行政不作為による皮肉な結果としての庶民の幾分の働く環境の改善に過ぎません。

明日は我が身です。この本はテレビや行政が絶対に伝えない、この国のゆがんだ弱者に対する本音を余すとこなく、さらけ出したものです。

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