
「無敵の人」とは、失うものが何もない人
無敵の人と言ってしまえば、つまり、失うものが何もない人です。
それは自分の仕事がない、貯金がない、もっと言ってしまえば、家族や自分の親からも見放された、つまり、孤立無援状態になれば確実に無敵の人となる、かも知れません。
現在いわゆる就職氷河期世代、すなわち、社会的に支援を行われてこなかった、もしくは、社会によって見殺しにされた人々が30代後半から40代の初頭と言われます。
この人々が、あと20年後、25年後つまり、現在の高齢者の定義としての年齢に達した場合、彼らは失う者が何もない状態になるのではないか、と私は考えています。
つまり、これまでの社会が働く者に与えてきた社員身分制度、それは一見、企業にとっては負担の大きな身分制度に見えます。しかし、そこには社会的な犯罪の抑止を行う側面があった事も事実ではないでしょうか。
しかも、就職氷河期世代に対する見殺し政策が問題化することは確実である、もしくは現在進行形であるにもかかわらず、現在の為政者達は未だに正社員の雇用転換を積極的に進めようとしません。また、失われた世代に対する救済策を取ろうとも全くしません。
本来であれば現在41、42歳になろうとする、失われた世代、特に女性については子供を産む事のできるラストチャンスとも言える年齢です。今、ありとあらゆるリソースを彼女らに集中し、この世代における結婚と恋愛、そして出産を促進させるべき時期であるにも関わらずです。
失われた世代は、まともに働いていれば結婚し、子供を産み、年金のある老後を得る事ができたはずでした。
失われた世代、就職氷河期以前の世代に、正社員としての安定が与えられてきたのは、そうする事によって景気の循環や、健全な世代交代を行うための社会的な施策でした。
しかし、バブル崩壊以降において、企業の目先の利益を求めるが故に派遣労働などの「持てる者達」にとって都合のよい制度を推し進めてきた結果として、就職氷河期世代は何も失う者のない世代に叩き落とされようとしているのです。
親兄弟、配偶者がない老後は最強
生活保護を受ける際には行政が、いちいち、生活保護申請者の親や兄弟に支援をする資金的余裕がないかと尋ねる事を行います。
それは実質的には嫌がらせとも言える行為であり、また、水際作戦の合法化とも言えるような行為です。
これらの行為にしたところで、その者が親や兄弟から見放されてしまえば、何ら怖い事ではありません。
つまり、良好な両親との関係や兄弟との関係を望まないのであれば、これほど行政にとって厄介な老人は存在しないかも知れません。
なぜならば、そのような老人を放置する事によって行政不作為と社会的に糾弾される事が確実ですから。
孤独な痴呆老人は性格をむき出しにする、そして、失うものすら無い
人間は年齢を重ねる事によって性格が穏やかになる事もありますが、実際の所は、老人性痴呆症などの初期状態においては自分の本来持っている性格がむき出しになる事が多い、と言われます。
それは、本来持つ、わがままな性格や自己中心的な性格、それらが病的な原因から、性格の変化として露骨に現れると言われます。
そのような状態になった場合、失われた世代、就職氷河期世代の彼らは、一体何をするのか、今のところ誰にも想像ができません。
この国の犯罪率の低さは、相互監視、また、犯罪者の親兄弟への社会的迫害を恐れるが故に成り立ってきた社会制度です。しかし、失う者のない者にとっては、そのような見えざる足枷など全く無意味と言えるでしょう。
生活保護課は地獄の一丁目と化すかもしれない
ガソリンを入れたペットボトルを持って生活保護の窓口にゆく、などの光景が数十年後に多発するかもしれません。
それは、自分の要求が通らないと、ガソリンを被って、自分に放火し、そのまま自殺するつもりで、です。
そもそも、これらの件については、報道すら、されなくなるかもしれません。
なぜならば、それを真似る人々が必ず出てくるでしょうから。今のパクリコンテンツがはびこるウェブを見ても分かる通り、この国の人々は模倣が大好きです。
そのような中で、阻害された、痴呆状態、絶望状態の人々が、「人生の最後に一花咲かせる」方法を知れば、それらの直接行動が多発する可能性が否定できないでしょう。
特に、公務員たちは、今後、自治体や政府が財政破綻でもしな限り、ぬくぬくと特権階級気取りで血税から高給を受け取り続けるのでしょう。それらの者に対して、何も失うものがない人々の怒りが爆発するのは自然な事かもしれません。
まあ、そのような事態にならないために、本来は所得の再配分などの社会保障政策をすべきなのですが。
それが全くできていない世の中なのですから、自業自得の日本の未来でしょう。
私は日本の未来は非常に暗いと考えます。それは、なぜならば現在行うべき政策を全くできていない為に他なりません。
そして、少なくとも現在の社会状況や政治家等の状況を見ていれば、それらの問題の認識すらできていない状況下にあると言わざるを得ません。
この記事では、就職氷河期の人々は失うものの無い者のない人々になりうる、と書きましたが、もしかすると、「今さえ良ければ良い」と考える「日本社会自体が、失うものが何もない状態に突入しつつある」のかも知れませんが。
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