フランスで2016年7月14日にトラックが人の列に突っ込むテロ事件がありましたが、トラックは一度に80人以上もの殺傷性を持つ、ということを世界に知らしめた今回の事件、数日程度で報道されなくなってしまいました。通常、「テロ」事件と考えた場合、数日で報道を止めるなど、ありえませんよね。
トラックが「テロ」の武器となることに対する報道規制
その背景にはトラックの持つ威力に対する為政者の報道規制としての思惑があるのではないでしょうか。
今回の殺傷事件は、トラック業界の人々に、
「トラックは何十人も殺す殺傷能力が有りますよ!」
と大々的に伝えているようなものです。つまり、トラックとは然るべきモラルある人が扱わないと、それは大量虐殺の機器となりうる、ということです。
ブラック業界としての運送、トラック業界
さて、トラック業界とは、「ブラックもブラック」の業界であると言われます。異常な長時間労働、長時間拘束、低賃金、睡眠時間の不足、業界自体の高齢化、などなど。
また、運送業界そのものの問題としては、ブローカーや荷主による異常な値下げの強要など、人間らしい生活が送ることが極めて難しい業界、とも言われます。
運送業界は現在の惨状を伝えねばならない
しかし、それがゆえに、運送業界は今回の「テロ」事件を大々的に今後に伝えてゆくべきではないでしょうか。それは、以下の様な論法によって伝えられるべきです。
- トラック業界は生活と人名を尊重する
- 今回のテロ事件は絶対に許すことができない
- そのためにも常識的な生活のできる賃金が必要です
無論、「トラックは人を殺せます!」と言うのではなく、トラックとは「適切な運用をしなければ人を殺めかねない物となってしまう」、という文脈で伝えるのは当然ですが。
つまり、そのような悲惨な事件があったという、「事実」を常に伝えていくことによって業界の待遇改善を求めていくということです。
実際問題として、日本社会というのは、多重下請け構造があって、そこでピンはねをしているような奴らが大手を振って歩くような社会ですし、トラック業界は、それらの被害者とも言えるわけです。そのような業界構造に対して、「モノ申す」ためには、今回の事件は非常に良い問題提起となるのではないでしょうか。
無論、為政者側としても、トラックへのGPSの装着義務付け、オートブレーキの装備の義務付けなどによる「テロ、危険行為の抑止」をすすめるのかも知れませんが、何十万台も存在するというトラックに、それらの抑止策が広く行き渡るには多くの時間がかかることでしょう。
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